「都構想」になると
大阪市民が他の政令市と比べても
いちばん損をします

主な政令指定都市の税収構造の比較から、「都構想」すなわち政令指定都市を廃止し、特別区に移行した場合、とりわけ大阪市民に劇的ともいえる「悪」影響を及ぼしかねないことが分かった。

「都構想」=政令指定都市の廃止、特別区への移行はとりわけ大阪市民に劇的「悪」影響を及ぼす

本年3月に公表された平成30(2018)年度の決算カードをもとに、主要な政令指定都市について、特別区の自主財源となる個人市民税、たばこ税、軽自動車税の額及び構成比と府県の財源となる固定資産税、法人市民税、都市計画税、事業所税の額及び構成比の比較を行ったところ、とりわけ大阪市にとって甚大な影響が発生する恐れがあることが判明した。

指定都市5都市(大阪市・横浜市・名古屋市・京都市・神戸市)の財政構造比較出典:2018年度決算カード

大阪市 横浜市 名古屋市 京都市 神戸市

特別区の自主財源となる個人市民税等の市税収入に占める割合は、横浜市で約50%。名古屋市、京都市、神戸市でも40%強の構成比だが、大阪市については31%しか占めない。このため大阪市が大阪市を廃止して特別区に移行した場合、他の政令指定都市が特別区に移行した場合に比べて、著しく貧弱な特別区の自主財源とならざるを得ないことが立証された形だ。

一方、府県税に移転される固定資産税等を比較すると、横浜市が50%弱、名古屋市、京都市、神戸市が60%弱であるのに比して、大阪市は約70%に達し、調整財源として活用されるとはいえ、大阪市に限っては7割もの市税が府県税に転換されることとなることも判明した。

歳入総額における普通交付税の比較

また、地方交付税の普通交付税について比較を行ったところ、大阪市は京都市の7.6%や神戸市の8.1%に比べると普通交付税への依存度は低いものの、大阪市の2.4%の依存度は横浜市の1.2%の約2倍、名古屋市の0.5%の約5倍の依存度であり、横浜市や名古屋市よりも交付税への依存度が高いことが分かる。しかも合算方式(普通交付税額を大阪市があると仮定して算出し、大阪府の普通交付税と合算して大阪府に交付される方式)のため、特別区ごとに普通交付税額を計算した積み上げ方式より少なくなり、構造的に収支不足を招く懸念がある。

この合算方式は東京都と23特別区も同じ方式だが、税収が豊かで交付税不交付団体のため問題が顕在化して来なかった。

東京23区の個人所得指数は突出して高い。
大阪市の指数は政令指定都市比較でも低位。
大阪府内自治体の中でも大阪市は9位

東京都及び特別区の所得指数及び所得の比較

この問題を自治体の住民の個人所得の格差から見てみると、より問題が鮮明に見えてくる。 「個人所得指標(2020年版)」(ゼンリンジオインテリジェンス)から見てみよう。個人所得の全国平均を100とした場合、東京都は150.5と高く、「東京23区」と言われる特別区の平均は164.2とさらに高い。特別区トップの港区民の個人所得指数は405.4となんと全国平均の4倍強である。23区中最下位の足立区ですら105.9と全国平均を上回っている。

政令市の所得指数及び所得の比較

では、政令指定都市ではどうだろうか。東京ほど高くはないが、神奈川県の横浜市、川崎市で130前後、名古屋市で125、京都市、神戸市、福岡市でも100を上回っている。これに対して大阪市は96.3と全国平均を下回る。これは大都市圏の物価水準などを考え合わせると、非常に厳しい数字であるといえる。ちなみに隣接する大阪のもう一つの政令指定都市・堺市も92.5と厳しい数字である。

また、大阪府内の自治体との比較で見ても、北摂地域を中心に100を上回る自治体が並ぶ中で、大阪市は大阪府全体の平均値95.6をわずかに上回るだけで9位と低迷している。

このことは何を意味しているか。

大都会の都心部という物価水準の高い地域であるにもかかわらず、個人所得が全国平均を下回るということは、自治体による手厚い福祉が他都市以上に必要となるが、その財源はもっぱら固定資産税や法人市民税など、都心部であるがゆえに確保できる税源に依存しているということである。

身近な福祉や教育がもっぱら特別区の担う仕事に仕分けされ、一方で固定資産税等が府税に吸い上げられた場合、特別区の財政は逼迫し、住民サービスが危機に瀕するのは火を見るよりも明らかであろう。

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