REAL OSAKA
広域一元化条例(案)の大阪府議会上程
に対する声明

昨年11月1日に行われた大阪市廃止・特別区設置を問う住民投票は反対多数となり、政令指定都市・大阪市の存続が決まった。

しかし、その直後から大阪市の権限・財源の一部を大阪府に移管する「広域一元化条例案」の動きがはじまり、この度府市両議会へ条例案が上程されることとなった。

本条例案は住民投票で示された住民の意思を無視するものであり、かつ大都市制度の趣旨にも反するものであることから、その議会への上程に強く抗議する。


本条例案は「広域一元化」の名のもとに大阪府が大阪市の都市計画を中心とした権限・財源を奪うものであり、その本質は住民投票で問われた「大阪都構想」と同一である。
すなわち、住民投票で否決された「大阪都構想」を条例によって実現しようとするものであり、コロナ禍にもかかわらず多大な費用を費やして強行された住民投票で示された住民の意思を無視するものであると言わざるを得ない。

大阪市民は住民投票において政令指定都市である大阪市の存続を望んだのであり、その権限・財源を府に移管することは政令指定都市の実質的な格下げ・骨抜きにつながる。
したがって、これもまた住民投票で示された住民の意思に反する。
また、今後本条例案のもとで大阪市から大阪府へ権限・財源を移管すれば、大都市特有の行政需要に対応するため大きな権限・財源を付与された政令指定都市制度の趣旨にも反するものとなる。


この他にも本条例案には多くの問題や懸念があるが、主要なものを以下指摘する。

本条例案は「二重行政の解消」もその目的としているが、第30次地方制度調査会の答申では、「二重行政の解消」は府県から政令指定都市への権限移譲によって行うべきとされている。
実際に政令指定都市に道府県並みの権限を持たせる「特別自治市制度」の実現をめざし、全国の政令指定都市の市長らが参加するプロジェクトチームが立ち上がっている。
なぜ大阪のみが全国の動きと逆行する方向をめざすのか、市民に対して十分な説明をすべきである。

本条例案は大阪府・市の一体的な行政運営を推進することを目的として、「副首都推進本部会議」を設置し、それを指定都市都道府県調整会議として位置づけるとしている。
しかし、府市の調整を行う機関であれば現行の指定都市都道府県調整会議を活用すべきであり、調整会議以上の権限を持つのであれば、府市の団体自治を侵害するものとなる恐れがある。

本条例案は大阪市から大阪府への具体的な権限・財源の移管は事務委託で行うとしているが、2000億円もの規模の事務を委託することは制度が想定しておらず、違法の疑いがある。
受託側である大阪府に執行体制があるのかも疑問である。また、大阪府の行政資源が受託事務の執行に投入されるのであれば、人口減少など様々な問題を抱える大阪市以外の府内自治体への施策がおろそかになる恐れもある。


未曽有の危機をもたらした新型コロナウイルス感染症の拡大が下火になりつつあるとは言え、特効薬の開発はおろか、我が国においてはワクチン接種計画もいまだ定まらない状況にある。
こうした中、いま大阪府が果たすべき役割は、市民の生活と命を守ることであり、大阪市内の都市計画や経済戦略に直接関与することではない。
大阪府においては、税収減に苦しむ府内自治体の支援やワクチン接種に関する自治体間の連携調整、他府県との広域連携によるコロナ対策などに全力を挙げることである。


本条例案は本日の府議会への上程をもって議会での審議がスタートしたが、先述した重大な問題点および懸念に対して十分な審議が行われなければならない。

2021年2月25日
REAL OSAKA
代表 田中誠太

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