広域一元化条例事務委託規約および大阪府市共同設置局の設置に対する声明

本日、大阪府議会において「広域一元化条例」に基づく「事務受託規約」および「大阪府市共同設置局」の設置に対する議案が、大阪維新の会・公明党会派ほかの賛成により可決された。


緊急事態宣言が発出中であり病床も依然として逼迫するなか、新型コロナウイルス感染者数は減少傾向にあるものの、変異株の出現とともに夏にかけて次の感染拡大が予想される。

いまこそ大阪府・大阪市は、すべてに優先して感染抑制策の徹底、医療体制の拡充、早急なワクチン接種等に総力をあげて取り組まなければならない。

このような時期にまさに不要不急の一連の議案が議会に上程・可決されたことは、市民の生命・安全を軽視したものと言わざるを得ない。


一連の議案は、2度の住民投票の結果を無視して成立させた「広域一元化条例」に基づくものであり、都市計画分野の大阪市から大阪府への事務委託や、府市共同で設置する「大阪都市計画局」は、政令指定都市・大阪市の権限・財源を府に吸い上げるものであり、これは簡易版「大阪都構想」とでも言うべきもので、これまでも私たちが指摘してきたとおり、多くの問題を抱えている。


具体的には、

①「広域一元化条例」は、大阪府・大阪市いずれかの議会で議決すれば廃止することができるが、都市計画分野での大阪市から大阪府への事務移管や大阪都市計画局に関わる規約は、双方の議会で議決されなければ廃止はおろか変更もできない。

②事務委託(受託)の範囲は、大阪府が強く関与する「副首都推進本部」で決めることから、大阪市民にとっては自らの議会の関与すらできない「白紙委任」となる。

③大阪府への事務委託(受託)にかかる大阪市の経費負担は、本来政令指定都市・大阪市固有の権限に関わることであるにもかかわらず、大阪府知事・大阪市長の協議で決めることになり、府知事が強く関与することになる。

この他にも、例えば都市計画に係る事務委託(受託)事業を実施するにあたって、

④都市再生特別地区に関する都市計画について、民間事業者への対応を「ワンストップ窓口で迅速化」するとしているが、そもそも大阪市に一元化されていた事業を府に委託するから新たな窓口が必要になるのであり、しかも原案策定後にあらためて大阪市都市計画審議会の意見を聞くことになることからむしろ計画決定は遅延する恐れすらある。

⑤このような事務の実施にあたっては、委託元の大阪市の職員が受託先の大阪府に出向いて業務を行うことが検討されているようであるが、受託先に事務実施の能力がないということはもはや事務委託とは言えず、大阪市から大阪府への人材ごとの事業譲渡である。

以上、数点に渡り問題点を指摘したが、いずれにせよ強く懸念されるのは、一連の議案の可決によって、おもに都市計画分野に関わる大阪市の権限が移管されることになり、今後は大阪市の都市のあり方の根幹にかかわる重要な都市計画事業が、大阪市民、大阪市会の意向が十分に反映されず、監視の届かないままに立案・実行される恐れがあるということである。

これはすなわち、自分たちのまちのことを自分たちで決めることができないということであり、自治権の侵害に他ならない。


今後REAL OSAKAとしても、「広域一元化条例」の廃止、それに基づく一連の規約の廃止を求め、大阪市の自治権の回復に取り組んでいく。


最後に再度強調するが、これまで二重行政や効率化の名のもとに病院や環境・衛生研究所が縮小されてきたが、今回のコロナ禍で大阪の保健医療体制はあまりにも脆弱であることが露呈された。

大阪市・大阪府においていま行うべきことは、目先の経費節減や制度の改編ではなく、市民の健康と暮らしを守る新たな公共を官民一体となって再構築することである。

2021年6月9日
REAL OSAKA
代表 田中 誠太


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