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大阪市を廃止してその権限・財源の一部を大阪府に移管する、いわゆる「大阪都構想」は住民投票で否決された。
それと同様のことを条例で行おうとすることは、コロナ禍のなか多額の税金を使って行った住民投票の結果を無視するもの。
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住民投票では政令指定都市・大阪市の存続が選択された。政令指定都市は、大都市の行政需要に応えるために府県に並ぶような大きな権限・財源を付与すべき、との認識から制度として設けられている。
その政令指定都市・大阪市の権限・財源を条例で大阪府に移管するのは、住民投票で示された意思、さらに政令指定都市制度の趣旨に反する。
第30次地方制度調査会の答申では、「二重行政の解消」は府県から政令指定都市への権限移譲によって行うべきとされており、本条例はこの方向性と逆行している。実際に、政令指定都市に道府県並みの権限を持たせる「特別自治市制度」の実現を目指し、全国の政令指定都市の市長らが参加してプロジェクトチームが立ち上がっている。
なぜ大阪のみ府から市への権限・財源の移管によって「二重行政の解消」を行うのではないのか、明らかな理由を示してほしい。
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基礎自治体から府県への事務委託は、財政基盤の脆弱な小規模自治体を対象とするもの。財政基盤が強固な大都市から府県へ事務委託することは、地方自治法が想定していないし、全国的にも例がない。
むしろ府県から大都市への事務委託を想定し、実際に実施されている。したがって、事務委託制度によって大阪市から大阪府へ事務を移管することは限りなく違法に近い。
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コロナ対策をバーチャル都構想として、大阪府任せにしてきた結果、大阪市としてのコロナ対策も無策に近く、現在の保健と医療の逼迫を招いている。
コロナ終息はまだ先の話。いま考えることは、さらなる混乱を招く恐れのある組織の改編ではなく、コロナのピーク後の対応と次の危機に備えた体制をどうしていくかの議論をすべき。
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府市一元化の目的とされる成長戦略には国際イベント・会議誘致があげられているが、コロナ後の時代には明らかに時代遅れの事業。
インバウンド依存の事業も含め、ライフスタイルが大きく変化するのが確実なコロナ後の成長戦略についてゼロベースで考えるべき。その前提が大きく変化しているのだから、成長戦略を目的とした府市一元化もゼロベースで議論すべき。
コロナ後の成長戦略は、インバウンドやイベントなどに依存するのではなく、住民の生活に寄り添ったものであるべき。
そのためには住民から遠い大阪府に権限・財源を移管するのではなく、住民に身近な行政から高度な行政まで一体的に行う政令指定都市・大阪市の権限・財源を拡充すべき。
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新しく条例に明記される副首都推進本部会議は指定都市道府県調整会議として位置づけるとしているが、そうであればすでにある指定都市道府県調整会議を活用すればいいのであって、条例に明記する必要はない。
逆に調整会議を上回る権能を持つ組織とするのであれば、府市の上位にある組織を設けることになり、府市の団体自治を侵害する違法な存在となる。
また指定都市道府県調整会議として副首都推進会議を位置づけるなら、堺市もこの枠組みに入れるべきであり、さらに言えば大阪市と連携して事業を行っている隣接市と府、大阪市の協議の場が必要である。
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広域行政については、もはや府県を越えた展開が必要となっており、時代の大きな変化に対応するためには柔軟な組織が必要となる。
したがって、広域行政は府市を一元化するのではなく、府市の柔軟な連携および府県を越えた都市間の連携・ネットワークの構築によって行うべき。
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過去の府市連携不足の事例として、りんくうタウン・ATC・WTCなどがあげられているが、それらはバブル時の甘い見通しとバブル崩壊・オリンピック招致失敗への対応の失敗によるものである。
たとえ当時府市が一体化していても経済の先行きが見通せたわけではなく、一体的な「負の遺産」が生み出されただけである。
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一般国道・高速道路に関する計画権限を府に移管するとされているが、現在大阪市内の一般国道・高速道路を大阪市が計画・整備することによって大きな弊害があるのか。
また、府への移管によって一般国道・高速道路は府、府道・市道は大阪市が計画権限を持つことになるが、稠密なネットワークを形成する市内道路の一体的整備ができなくなり、その弊害のほうが大きい。
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既存の用途地域等に基づく用途・容積率等の規制を適用除外にしたうえで自由度の高い計画を定めることができる都市再生特別地区を指定する権限が府に移管されるが、それによって大阪市の都市計画を府が事実上変更することが可能となり、政令指定都市・大阪市の都市計画権限は大きく失われることになる。
その結果、大阪市民がみずからのまちづくりに関与することが困難になる。
また、2014年の第4次地方分権一括法(「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」)によって都市計画区域マスタープランを策定する権限が道府県から政令指定都市に移譲されたが、都市計画における地方分権の流れにも逆行するのではないか。