メイン画像

コロナと子ども食堂

今、本当に都構想は必要でしょうか?コロナ禍の中、市民の暮らし・命が脅かされる状況が今なお続いています。REAL OSAKA(リアルオーサカ)は、現場で対応にあたっている人達から現状に苦しむ人々の声を集めました。第8回目は「いくえ子ども食堂なぎなぎ」の運営者の方にお話を伺いました。

    もくじ

  1. 「いくえ子ども食堂なぎなぎ」について
  2. コロナ禍で学校が一斉休校になった時
  3. 行政からの支援に関して
  4. コロナ禍で困ったこと
  5. 「都構想」について感じていること
  6. 大阪市の子ども施策に足りないもの

今、取り組まれている子ども食堂の概要を教えてください。

「いくえ子ども食堂なぎなぎ」という名称で2016年の4月にスタートになります。それ以前は、長期休業、春休み、夏休みの子ども会活動や水曜日の学習会とかはやってました。基本的には、しんどい子というよりも、個食をなくして、みんなでわいわい集まって、食べながらやる、っていうところが、あったらええんちゃうかな、というかたちですね。

どのようなメンバーで運営されているのですか?

「いくえ子ども食堂なぎなぎ」運営者の方2016年4月よりスタート。個食をなくしてみんなでわいわい集まるというスタンスで運営している

基本的には、地元の青年と、地域のおばちゃんでやらせてもらって、料理的なものはおばちゃんと僕と、順番ずつで、月2回やってるので。第2やったら僕、第4やったらおばちゃん、みたいな感じでやらせてもらってたんですけど、ここ2年間は僕が作ってます(笑)。

最初の第2水曜日は全部カレーにしようって言ってたんですよ。カレーぐらいやったら、簡単に作れるし、やれるやろうっていうふうに思ってたんですけど、意外と簡単ではなくて、子どもも、ニーズが「もうカレーええって」みたいな言う子もいて。「ほな、変えようか」みたいな。で、今はいろいろ。で、困ったときはカレーにしたら、「出た!困ったときのカレー!」みたいなことも、子どもらに最近言われます(笑)。

毎回何人くらいの子どもが来ていますか?

子どもだけでいうと20人ちょっとなんですけど、大人を入れると40人近くになってくるんですよ。今もコロナの関係で部屋に入ってもらったら、ギュッと詰まってしまうので、今の人数くらいがほどほどなのかなあというふうには思ってます。

子どもたちはどんなきっかけで子ども食堂に来るようになるんですか。

一番最初は学校と協力して、やらしてもらったんですけど、あとは子どもの口コミですね。それでひたすらまわってるっていう形で、あんまり宣伝しても、どうかな、っていうのはあるので。学校と当初連携せずに「子ども食堂やります」ってやりはった区域の人たちは、一気に子どもが殺到したことがあって、(食事が)足りなかったっていうのもあったらしいです。いいことではあると思うんですけど、逆に、子どもたちに申し訳ないっていう部分もあったりとか、いうこともおっしゃってたので、僕らそういう意味では学校とのつながりがもともとできてたっていうのもあるので、うまいことできたのかな、と思ってます。

食材集めはどのようにされていますか?

当初は実行委員会形式で地域の関係者、施設、社会福祉法人、というところから寄付をもらって、そのお金で食材を買って、ってやってたので、だいたい1回、5,000円ちょっとくらいなんですよ。それくらいで一応、おさめてます。

それ以上すると、豪華になってくるし、豪華っていうか、そこまで調理ができる力が、僕らからしたらないのかな、とか思いながら。調理時間もかかっちゃうので。それくらいの食材じゃないと、ちょうどいいのかな、って思ってます。一汁一菜、フルーツ、NPO法人ふーどばんくOSAKAさんからもらえるお菓子を渡すとか。いうようなところですかね。

子どもたちに好評なのはどんな料理ですか。

実は魚料理はほとんど出さないんです。僕が魚が嫌いやから(笑)夏休みに、魚釣りに行って、自分たちで釣ったやつを捌いて子ども会ではそういうこともやってるんですけど。

いちばん人気があるっていうのが、あんまりどれがいい、っていうのはなくて、基本、肉。豚、鶏、牛、この3つを中心にどう回すかっていうのをやってます。

おうちで食事をちゃんと摂れてない子が居てるので、できるだけその子らを頭におきながら、栄養価というか、カロリー高めというか、そういうのを計算して、出せたらええな、とは思ってるんですけど。子どもの時は肉やろっ、と思って。野菜も一応入れてますけど、基本、肉ははずせないメニューですね。

コロナの状況になって、学校が一斉に休校になった時はどうしてたんですか。

他の子ども食堂さんはお弁当も出したりしてはって、うちはお弁当を出そうかなとは思ったんですけど、正直、コロナにはビビってたというか、ちょっと引いてた部分があったので、調理するのもどうかなと思って、基本的には、ふーどばんくOSAKAさんに冷凍食品をいただいてたのを配るようにしました。

今であれば、こういう対応をしていけばというのがあるんですけど、ちょっとビビリすぎたというか、構えすぎたのかな、というのはありますね。コロナに対して。

いつから再開したのですか?

運営者の男性コロナ感染対策に不安はあったが、子どもたちの要望もあり、学年で時間を分けて再開した

ビビりながらでしたけど、5月くらいには再開しました。何人か、LINEとかメールで「まだなん?まだなん?」って言われてて、「もうちょっと我慢して、もうちょっと我慢して」って言いながら、してたんですけど。今までは、小、中、高全部一緒にやってたんですけど、小学生は5時から7時まで、7時から中高生、っていう形にはしました。人数をバラけて。

行政的な支援っていうのはありますか?

地元の社会福祉法人がバックアップしてくれるっていうのもあるので、あまり行政的なところに頼らないできました。今、区で「子ども食堂ネットワーク」っていうのが2ヶ月に1回、会議を開いてるんですけど、そこで情報提供とか、他の子ども食堂さんも集まって、食材提供をいろんなところからいただけたりもするので、お互いもらったところで「まだ余ってます」「使います」っていうのは、お互いやりとりしながらさせてもらって、それでけっこう助かってたりもするんで。

食材以外にも、消毒用アルコールとかマスクとかはどうしていますか。

一応、配ってくれるような感じはあったんですけど、法人とかでまかなわせてもらったんですけど、なんとかギリギリ。フェイスシールド、手作りなんですけど寄付していただける建築事務所さんとかが、あったんで、それをいただいたりとか。というので、コロナ対策というところはさせてもらいました。

こんな支援があったらいいなというのはありますか?

調理器具とか、調味料とか、まだまだ持ってないところとかあると思うんですよ。他の子ども食堂さんも、自分の家から調理器具を持ってきて使って、とかたぶんあると思うんで、例えば、大人数だったら、フライパンでできなくてホットプレートで焼きそばとかやったりしてるんですよ。

今回、炊飯器にしても、二升炊きやと、全然おいしくないんですよ。米が全然美味くなくて、買ったんですよ。それはもう、先に寄付をいただける形で買わせてもらおうと。わがまま言うと、食材をみじん切りというか細切れにするようなやつだったりとか。いろいろいっぱい欲しいんですけど、言ってられないので、とにかく包丁で切ってますけど。

場所はどこでやってるんですか?

大阪市のコミュニティ活用計画の空き住宅を使って、やらせてもらってるんですけど。住宅のど真ん中ですけど、ちっちゃいそういうとこですね。20人でギリギリくらいですね。30人来たら、座るところがなかなかないです。今、コロナなんで、できるだけ席をバラつかせてるんで。30人は無理ですね。

コロナの状況になって、他に困ったことってありますか?

一番気を使うのは、子どもたちがご飯を食べたあと、カードゲームとか、携帯のゲームとか、うちは自由なんですけど、何をしてもいいよっていう。そういうコミュニケーションにしても、あんまりできなくなってるんですよね。

カードゲームがうちは主流で、うちの若い子がカードゲームを持ってきてカードゲームでコミュニケーションをとりながらゲームをする、という。その中でやると、どうしても固まって、真隣にいるような感じなんで、それができない、コミュニケーションが図り難いってなってくると、ちょっと寂しいような、食べたら帰る、とか。当初は「食べたら帰りや」って言わなあかんかったりとか、なんかそれってどうなんやろな、と思って。

そういうコミュニケーションの場で課題が発見できるということができなくなってきている。

子どもらと距離を縮められる機会があるじゃないですか、そういうのがなかなかできないので。コロナから再開した時は、この間、コミュニケーションが取れてないのかな、という感覚はありました。子ども同士やから、たまに「わっ!」とかなるじゃないですか。「こら!」ってなるし、別に、若干喧嘩してても、僕らすぐ止めないんですよ。どういう展開になるかな、っていう様子を見てから、口を出しに行くので。そういうのもないので。そういうのは、ちょっと寂しいなっていうのは、思いますね。

11月1日にいわゆる「都構想」の住民投票がおこなわれますがどのように感じておられますか?

僕自身が在日という立場なので、「僕、投票できませんねん」と。そのことについて、大阪市全体として、それはどうなりますの、と。国の選挙はまあアレとしても、せめて自分らが住んでる町というか、所は、俺らも投票させてくれよと思うんですけどね。

そこが一番、僕にとっては支障やと思ってます。前回の時も反対の立場で活動を、街頭でしながら、配りながらやってきましたけど「俺、投票できへんねんけどなあ」と思いながら。いつも選挙ではそう思ってますけど、とにかく、反対をちょっとでもしてもらって、増えたらいいと思って。

この大阪市っていう地域が好きやし、そういう意味合いでは、ぜひ投票もさせてもらって、よりみんなで住みやすい町になれば良いんでしょうけどね。そういうのを、今のこの状況っていうのは無視されて、投票できなくて、反対の人は必死で集めないとあかん状況で、このままいくと賛成に傾いてるのが、一番、今は勢いが良いのかな、と思いますよね。

しんどい子どもたちに対する施策で大阪市で何が一番足りないと思いますか?

運営者の男性子ども食堂の居場所機能が、しんどい子どもたちの安心・安全につながると語る

SOSというか、実際、虐待を受けてる子がうちにも来てたりとか、ネグレクトがあったりとか、言えるところっていうのは、居場所、何回も行けるところがあって、信頼できる兄ちゃん姉ちゃん、おっちゃんおばちゃんに話ができると思うんですよ。

いきなり区役所に子どもが行って「相談を聞いてください」ってなかなか言えないと思うので。子ども食堂がそういう拠点も担うっていうのは、良いんちゃうかな、とは思ってるんですけど。それはやっぱり、子ども食堂、居場所機能を持ってるところが、行政よりもそこの方がそういう機能を持ってた方が、たぶん子どもたちにとっては安心安全な場所なのかな、というふうにはものすごい思いますけどね。

しんどい家庭の子が「お父さんが病気で、今後どうしていったら良いかわからんねん」っていうのを僕に言ってきたりとか、「学校の先生はどう言うてんのや」とか。「ただ学校の先生だけではちょっと不安や」とか。「福祉の人はどう言うてんねん」とか。「福祉でどうしても繋がらへんのやったらまた言うておいで」っていう。

そういう繋がりを持ったり。そういう拠点、機能っていうのをぜひ大阪市内にある子ども食堂が、やってはる人もたぶん居てるんです。実際、民生員さんで、子ども食堂をやってはる人もいるし、そういう機能を、行政的にもうちょっと。

そのほうが、子どもの実態って拾いやすいのかなって思うんですよね。区の行政、学校も温度差があるので、そういう意味では、そういうやってるところの方が子どもたちに寄り添おうとしてるので、そういう機能をつけてほしいですよね。ぜひ。

この記事をシェアする
REAL OSAKA ロゴマーク

私たちについて

私達「REAL OSAKA(リアルオーサカ )」は、正確な情報をみなさんにお届けし、正しい判断をしてもらうために結成したプロジェクトです。

大阪市を解体するような大変重要で大がかりなことを、十分な議論と正確な情報が与えられないまま、判断を求められていることを危惧する有志の集まりです。

私達と同じように問題意識を持つ市民や団体が、多くの方に発信して頂けるように、自由に使えるロゴデータなどを制作し発信することに致しました。いずれも、皆様の名の下に配布・利用を頂けるものです。

なお、私達自体は特定の政党や候補者を支持する政治的目的はございません。(当サイトのクリエイティブを利用した皆様の活動におかれましてはこれを制限するものではありません)

また、同プロジェクトに参加するメンバーの氏名や活動拠点の所在地は、非公開とさせて頂いております。名前を公表することで、真意はどこにあるのか詮索され、誹謗中傷や攻撃にさらされることを私たちは怖れています。メンバーは普段、会社員であったり、クリエイターであったりと様々ですが、大阪を愛する一人の有権者として、いま目の前に提示されている案を真剣に考えよう、そのことを発信するためのプロジェクトです。

私たちの意思は、ただそれだけです。

\ follow me! /