コロナと医療現場
Tweet今、本当に都構想は必要でしょうか?
コロナ禍の中、市民の暮らし・命が脅かされる状況が今なお続いています。REAL OSAKA(リアルオーサカ)は、現場で対応にあたっている人達から現状に苦しむ人々の声を集めました。第5回目は大阪市北区の太融寺町で診療所を営み新型コロナウィルスの発症が疑われる患者を診ておられる谷口医院の院長、谷口恭さんにメールインタビューに答えていただきました。
新型コロナウィルスの感染拡大による影響について
- 発熱患者(有症状者)への対応について
- 病院の経営状況や必要物資の調達について
- 院内で行った感染予防の工夫について
- 患者さんへの啓発(症状があるときには事前連絡。マスクは必ずする、など)
- 勤務中マスクをする(今では当たり前ですが、僕は2月までは診察時にもマスクをしていませんでした)
- 院内の食事は他のスタッフと距離をとる。
- 正しい知識の確認(Covid-19は”相手に”サージカルマスクをしてもらい鼻を触らなければほぼ100%感染しません)
3月以降、有症状者は「発熱外来」の枠に来てもらっています。
ただ、午前診と午後診の最後、他の患者さんに全員帰ってもらってからとなりますから1日2名しか枠がありません。できるだけ当院未受診の患者さんも診るように努めてきましたが、やはり当院をかかりつけ医にしている人を優先したいので、現在は発熱外来の対象を「当院をかかりつけ医にしている人のみ」とさせてもらっています。
経営状況については特に変わりありません。必要な物資調達についても今のところなんとかなっています。
スタッフひとりひとりの自己管理の徹底をしています。
医療現場の状況について
- 医療崩壊が起きていたのでしょうか。状況をお聞かせください。
- 国や地域でコロナに対応できるだけの体制が整っていたと思われますか?
- 医療体制をはじめ今回のような感染症に対応できる社会を作るのに何が必要だと考えますか?
医療崩壊は起きていました。
他院から拒否され、保健所からは相手にされず……、という事例が3月4月は相次ぎました。なかには10軒以上から断られ、当院にたどりついたという状況もありました。コロナが疑われましたが、当院から保健所に検査を要求しても断られ、結局、「不明熱」という名目で病院に入院してもらいそこでコロナ陽性と判明する事例もありました。
また、4月には救急車を呼んだけど、どこにも受診できなかったという事例もありました。その日は諦めて翌日に当院を受診されました。
症状があっても保健所からは相手にされない、診療所/クリニックでは門前払い、救急車は来ても搬送先がない……。これが医療崩壊でなくて何なのでしょう。
整っていません。PCRの検査ができない。
しかしこの点は不思議で、PCRの件数を増やさなくていいという医師が多いのです。
それに、発熱して行き場をなくした人はどうすればいいのでしょうか。
先述したように当院も診れるのは1日2人だけです。
Covid-19に関して言えば、最大の問題点はPCRの件数が少なすぎることです。
それに、いまだに大阪市では診療所ではPCRが保険ではできません。自費ならできますが高すぎて現実的ではありません。この点はすぐにでもできるようにしてもらいたいです。
PCR検査体制と課題について
- 国や自治体のPCR検査体制の状況と課題についてお聞かせください。
- どのような検査体制を構築するのが理想的だと考えますか?
- なぜPCR検査数が伸びないと思われますか?
先述したように大阪市ではいまだに診療所では検査が保険でできません。
無症状者でも感染の可能性があれば受けられるようにすべきですが、まったく対応できていません。
医師が必要だと判断した事例については全例保険(または全額公費)で検査をできるようにすべきです。
無症状でも濃厚接触が疑われる場合は公費で検査ができるようにすべきだと思います。
医師のなかにも検査を増やすことに否定的な人が多いことや、診療所での保険での検査が認められないことが要因として挙げられます。
国や行政側からの情報発信と風潮について
- マスコミはじめ新型コロナウィルスに関する情報発信のあり方についてどのように思われますか?
- 大阪府知事が行う記者会見などにおける情報発信のあり方についてどう思われますか?
- 陽性者や職業に対する差別がなぜ起こると考えますか?
メディアを批判する医療者は多いのですが、僕はよくやってくれていると思っています。根拠に基づいた正確な情報を示すなど、間違った情報に対してただす役割も担ってほしいです。
あまり見ていないのでよく分かりません。ちなみに僕は自民党も安倍首相も支持していませんでしたが、2月29日に首相が述べた「率直に申し上げて、政府の力だけでこの闘いに勝利を収めることはできません。最終的な終息に向けては、医療機関、御家庭、企業、自治体を始め、一人一人の国民の皆さんの御理解と御協力が欠かせません」という言葉はとてもよかったと思っています。
吉村知事は(会見はみていませんが)十三市民病院をいちはやくコロナ専門病院にしたことはよかったと思います。強いリーダーシップを感じました。ですが、イソジンがまずすぎました。
無理解が原因だと思います。正しい知識があれば防げます。HIV(ヒト免疫不全ウイルス)と似たものがあります。以前、NHKからこの点で取材を受け、「差別はおかしい」ということをコメントしたのですが、番組では全体の意向として「差別をする側の気持ちも分かる」とされていました。
僕は大きな違和感を覚えました。
職業差別もあると聞きます。悲しい限りです。
国や自治体の政策や指針について
- 国の出す政策や指針についてどのように感じておられますか?
- 医療現場に対してどのような支援策が必要だと思われますか?
- 市民に対してどのような支援策が必要だと思われますか?
- 現在、不足している点や課題だと感じている点についてお聞かせください。
- PCR検査の充実(希望者は無症状でも全額公費負担及び診療所では保険診療)
- 正しい知識の啓発(先述したように検査を名乗りでた人をほめたたえるような文化をつくる)
- 私たちREAL OSAKAのような市民団体にできることはありますか?
僕はよくやってくれていると思っています。3月の学校の休校措置も、医療者からの批判も多いですが、あのときわかっていた情報からはああいう措置はやむを得なかったと思っています。
マスクはよくなかったというよりは「こんなことしかできないのか…」と悲しくなりました。
個人的には、安倍首相に、例えばニュージーランドのアーダーン首相やニューヨークのクオモ知事のように、もっと素顔で国民に語りかけてほしかったと思っています。
しつこいようですが、PCRを診療所で保険で実施できるようにしてもらうことが喫緊の課題です。これは手続きだけの話です。
医療者は市民のために存在しています。我々を支援してほしいとは思いません。
Covid-19は無症状でも他人に感染させることがある感染症です。ですから「他人にうつしてしまったらどうしよう」と考えている人が多数います。
そういう人たちに対しても検査が無料で受けられるようにすべきです。
検査に反対する医療者は「偽陰性が多いから…」と言いますが、当院に相談してくる患者さんはそんなことは知っています。そういった検査の限界のことをわかっていてそれでも検査を求めているのです。
また、「差別されるような病気でない」ことを知ってもらうことが必要です。
「感染したかもしれないから検査を希望します!」と名乗りでた人を社会全体でほめたたえるような雰囲気にもっていかねばなりません。
繰り返しになりますが
若い人たちの間で「陽性となれば差別されるから検査を受けたくない」という人が少なくありません。3月に感染した京産大の学生が悲惨な目に合っていることがよく知られていますから検査に躊躇する気持ちは分かります。
Covid-19は差別される疾患ではないこと、感染しても堂々としていいこと、検査を受けるのが素晴らしい行為であることなどを特に若い人たちに啓発していってもらいたいです。
私たちについて
私達「REAL OSAKA(リアルオーサカ )」は、正確な情報をみなさんにお届けし、正しい判断をしてもらうために結成したプロジェクトです。
大阪市を解体するような大変重要で大がかりなことを、十分な議論と正確な情報が与えられないまま、判断を求められていることを危惧する有志の集まりです。
私達と同じように問題意識を持つ市民や団体が、多くの方に発信して頂けるように、自由に使えるロゴデータなどを制作し発信することに致しました。いずれも、皆様の名の下に配布・利用を頂けるものです。
なお、私達自体は特定の政党や候補者を支持する政治的目的はございません。(当サイトのクリエイティブを利用した皆様の活動におかれましてはこれを制限するものではありません)
また、同プロジェクトに参加するメンバーの氏名や活動拠点の所在地は、非公開とさせて頂いております。名前を公表することで、真意はどこにあるのか詮索され、誹謗中傷や攻撃にさらされることを私たちは怖れています。メンバーは普段、会社員であったり、クリエイターであったりと様々ですが、大阪を愛する一人の有権者として、いま目の前に提示されている案を真剣に考えよう、そのことを発信するためのプロジェクトです。
私たちの意思は、ただそれだけです。
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